ずいぶん前ですが、嵯峨野を散策しているときに瀬戸内寂聴さんを見かけたことがあります。
周りの人が気づき始めると、日傘でそっと顔を隠して足早に通り過ぎていかれた。
寂聴さんがなにがしかの命を受けてある役割を担っていたとしても、著書や助言に救われた人は少なくないと思います。
小説は読んだことないのですが、私が人生のある一時期、心の支えにしていたエッセイ本があります。最近思い出しました。
これです、これ。
人はひとりで生れ、ひとりで死んでゆく。恋人がいても、家族に囲れていても、しょせん孤独。群れていても、若くても、老いても孤独。ほんとうに自分が孤独だと感じたことがない人は、真に人も愛せない。孤独と向かい合い、飼い馴らし、新しい自分と出会える人だけが人生に輝く道を発見する。孤独を生ききるにはどうすればいいか。答えがこの本にある。
1998年発刊ってことは、父が亡くなった年ですわ。
お正月、家族が留守をしている間に亡くなったので、後悔があったんだと思います。
また別の対人関係で悩んでいた時期でもありました。
人はだれしもみんな孤独だと。自分は孤独じゃないという人は気づいていないだけ。生き別れや死に別れ、あるいは親しい人とケンカしたり失恋して初めて自分が孤独であることに気づくんだというくだりが気に入って、何度も読み返した記憶があります。
孤独だからこそ人は誰かと寄り添って生きていこうとする。
人間ばんざーい。
AIにはわからんやろ、人間の心の機微なんて。