冷たい雨が降る昼下がり、インターホンが鳴ってモニターを見たら年配の女性の姿が。
宗教の勧誘か葬儀会館の営業かな?と思って無視していたら、しばらく置いてもう一度ピンポーンと鳴ったので、仕方なく応対すると、「△△病院でご一緒だった〇〇です」と言われて、25年前に同じ病室だった〇〇さんだということにようやく気づく。
4人部屋で私以外の3人はガンでした。きょう訪ねてこられた〇〇さんはたしか卵巣がんだったはず。
予後は順調で80歳近い今もお元気なのは喜ばしいことですが、この方は学会員さんで、退院後も選挙があるたびに我が家を訪ねてこられたのはちょっと想定外でした。連絡先を交換しちゃったので。
ただ、ここ7、8年はご無沙汰で、一度ぐらい電話があったかな?という程度。
なので、この冷たい雨の中を選挙のお願いのためにわざわざ訪ねてこられるとは思っていなかった。
そんなことより自分の体を大事にしてくださいよと、なんだか怒りに近いものがこみ上げてきて、めずらしくつれない態度をとってしまったのです。
適当に話を合わせるぐらい簡単なのことなのに。
あなたが応援しているその人はあなたの存在すら知らないかもしれないのに、今ごろは暖かい部屋でお茶をすすっているかもしれないのに、それでも突き動かされるものがあるとしたらいったい何なのか。
冷たくあしらいながらも、去っていく後ろ姿に向かって「風邪に気をつけてお大事にしてくださいね」と声をかけたら、振り返って「ありがとう」とほほ笑んでおられた。
こんな態度でよかったのかと今になって自己嫌悪に陥っている。
私も精神的に余裕がないのかな。
明日どうなるかわからないご時世ですから。