そう言ったのは、大学のオープン講座で心理学を聴講したときの担当教授。
いつも最前列の席を陣取って、教授が「何か質問は?」と尋ねると、真っ先に「ハイ!」「ハイ!」と手を挙げる実直そうな中年男性に対して言い放った言葉です。
先に補足しておくと、この先生と生徒さんは仲がよくて、そこそこ信頼関係があるから言えたわけですが、その教授曰く「ほかの人は最初に手を挙げた人がどんな質問をするかよく見極めて、それよりレベルの高い質問をしようと待っているんだよ」と。
まあ、なんというか、突撃ラッパみたいなものかな。
うーん、ちょっと違うか。
私はその言葉がずっと頭に残っていて、新しい製品が大々的に売り出されようと、政府がああしましょう、こうしましょうと何か強力に勧めても、真っ先に飛びつかない。先頭集団の様子を見て、不具合や瑕疵が修正されてから乗っかるようにしています。
家電にしろなんにしろマニアの人たちは誰よりも先にその商品を手に入れることに価値を見出すわけで、ある意味、非常にありがたい存在なのです。
なんでこんな話を持ち出したかというと、これ ↓
この前、東京に住む従妹が「選手村のアルバイトに申し込んだら採用された」と言ってたので、「へえ、有償バイトの募集もあるんだ」とそのとき初めて知ったわけです。
でも、子どもたちは早々と無償ボランティアに登録済みで、待ったお母さんの勝ち。
無償ボランティアの集まりが悪ければ、もう少し条件が良くなったと思うのよね。
「一流選手に会えるかも」「一流のシェフに会えるかも」と喜び勇んで登録した人たちは、今さら騙されたと言ってもあとの祭り。
すぐに飛びつかない、じっくり待つことで国や都も重い腰を上げたかもしれないのに。
それを「交渉」と言うのではないでしょうか。